「お金のためにカラダを売る」。
この一点で、AV女優は、ソープランドやデリバリーヘルスで働く女性と変わらない、そう言えるかも知れません。
素人目からすれば、
「いやいや、AV女優なんて芸能人の一種じゃん。ふつうにお店で働いている風俗嬢なんかと全然、人種が違うよ！！」と思われるかも知れません。
けれども、本当に、そうなのでしょうか。
AV業界をクローズアップするにつけ見えてくるのは、逆に、AV女優が、風俗嬢に近いかも知れない、場合によっては、それ以下かもしれない、ということです。
これには風俗嬢自身が、「そんなわけないじゃないですか！」と謙遜して返すかも知れません。
しかし深い事情を知ったならば、「こっちの世界の方が断然イイですね！」なんて、コロッと態度を変えそうです。
AV業界の諸事情を知っていたとしたら、風俗嬢は、AV女優をどう見るのでしょうか。
両者の垣根は、そんなに高いのでしょうか。
本記事で、ちょっと、検討してみたいと思います。
AV女優カースト制orヒエラルキー
「カースト制」を覚えているでしょうか。
「奴隷制」じゃないですよ。
インドのバラモン教の「階級組織（タテ社会）」のことです。
バラモン（司祭）を筆頭に、クシャトリヤ（武士）、ヴァイシャ（庶民）、シュードラ（奴隷）と身分が低くなってゆきます。
すみません、嫌味なウンチクです。
気を取り直して…。
こういうタテ社会のことを、「ヒエラルキー」とも呼びます。
会社の序列もその類です。
社長さん、部長さん、課長さん…。
さて、AV女優の間にも、こういったカースト制、ヒエラルキーに似た序列があるのをご存知でしょうか。
「単体女優」、「企画単体女優」、「企画女優」というのが、それです。
順に、見てみましょう。
単体女優（ギャラ50万円～200万円）
みんなに広く知られているAV女優。
AVメーカーと専属契約し、高額の出演料を稼ぐ。
知名度だけで、AVは売れる。
JULIA、紗倉まなさん、明日花キララさん、RIONさんなど（※）。
（※女優さんの契約事情はコロコロ変わるでしょうから、あくまで「そうであったことがある」程度で理解してください。また、ギャラはAVプロダクションの取り分を差し引くなど、詳しい所までは計算していません。以下同様。）
企画単体女優（ギャラ15万円～80万円）
単体女優ほど出演料の単価は高くないけれども、単一のAVメーカーと専属契約していないため、いろいろな他メーカーの作品に出演できる。
正直、素人目には、単体女優と区別できない。
このタイプのAV女優の出演作品も、知名度だけで売れる。
上原亜衣さん、波多野結衣さん、長瀬愛、堤さやかさん、風間ゆみさん、村上涼子さんなど。
企画女優（ギャラ3万円～20万円）
AVメーカー側の企画した作品に、「多くのAV女優の一人」として出演する。
AV女優という肩書を持つ女優さんの80％から90％は、残念ながら、この部類。
「多くの中の一人」と形容されることからも分かる通り、知名度だけでは出演作品は売れない。
というか、そもそも何者か視聴者に知られることはない（一部マニアを除く）。
これが、現実。
こういった単体女優から企画女優までのヒエラルキーが、AV女優の世界には、あるんですね。
「いやいや、そんなの業界の裏事情でしょ？」
いいえ、違います。
どのAVプロダクション（AV事務所）でも、このヒエラルキーは、はっきり、公言されています。
次のページを見てみてください。
ディアス（お仕事内容） http://diaz-g.com/works/
マインズ（お仕事内容） http://mines-pro.jp/pc/content.html
ティーパワーズ（お仕事内容） http://www.t-powers.co.jp/job/#j01
各プロダクションさんも、オブラートに包んだ（優しく遠回りな）言い方をしていますが、言いたいのは「ヒエラルキーがありますよ」ということです。
特に、単体女優の募集要項なんかを見ると、はっきりしていますね。
「顔、スタイルだけでなく、性格などの内面も審査基準になります。…メーカーの看板となるので誰でも可能とはいきません…。」（ディアスさん、マインズさん、アドレス同上）
うーむ。
丁寧さのなかに、なにか、チクリとしたものを感じます。
企画モノはツライよ…。
ここで注目してもらいたいのが、ヒエラルキーの最下層に居る「企画女優」（③）さんたちです。
ギャラの時点で、既に中級ソープと変わらない…という感じすらします。
参考
吉原の代表的中級ソープ「IRIS（アイリス）」では、100分で男性客がお店に払う料金は、35,000円。
それに対して、女の子へのバックは、20,000円（フリー）～23,000円（指名）だと言われています
しかも、企画モノAVですから、「痴女」とか「SM」程度ならまだしも、とんでもないものをブツけられる可能性すらあります。
例えば、の話ですが…
・浮浪者100人とセックス（風呂なし）。
・肉便器役（排泄あり）。
・童貞クンの自宅訪問（家賃2万円）。
「童貞クン」なんてのは、むしろ「素人童貞」ご用達の風俗嬢のつとめとも言えそうですが、AV撮影だと、また話が違うでしょう。
一日中、童貞クンの湿った狭い部屋で、セックスしなければなりません（複数の女優さんたちと）。
体ガタガタに成るでしょうね。
風俗嬢はどう思うか？
この現状を知って、風俗嬢はどう思うでしょうか。
きっと「同じことするなら、形に残らない、お店の方が良い！」と答えるでしょう。
「AV嬢を続けて精神病に成った」なんて言う女の子も居るくらいですから。
多くのスタッフに自分の痴態を見られて、男優－というより寧ろ、童貞クン、浮浪者さんたち－の記憶にもガッツリ残って、画像も残る。
「勘弁してくれ」というのが本音でしょうね。
AV業界では「企画落ち」という言葉があります。
単体では売れなくなった、つまり、その娘が出ても視聴者が購買意欲をそそられなくなった、そういうAV女優さんたちのことを指します。
彼女たちは、多くの女優さんたちの中の一人として、企画モノに吸い込まれて行くんですね。
「企画女優」とは元来、そういう落ち目のカテゴリーのわけです。
だったら、AV女優を続ける理由はあるでしょうか。
自分がこういった境遇（企画AV女優）に落ちぶれる運命にあることを前もって知らされたとするなら、風俗嬢は、たとえAV女優に成れるチャンスがあったとしても、「いまのままがずっといい！」と思うはずです。
結論とまとめ。
このように、AV女優であることは、必ずしも恵まれた環境であるとは言えないんですね。
もう少し、考えてみましょう。
例えば、SMクラブで働く女王様なら、どう思うでしょうか。
男性客が勃起している前で、おしっこします（聖水）、ウンコします（黄金）。
誇らしい、と思うでしょうか。
確かに、自分にとっても快感かも知れませんが（だから女王様なんでしょう）、あくまで個人的な趣向、と割り切っているのではないでしょうか。
つまり、「プロとしては働くけれども、できれば仮面を被ってやりたいくらい、多くの人にお見せするものではない」というのが本音でしょう。
しかし、これがもし、落ち目のAV女優だったら、まさしく多くの人に、自分のプレイを晒さなければなりません。
こういった過酷な現状を知り、女王様は、何と思うでしょうか。
SM企画モノAV女優なんて、自分と同類どころか、それ以下だ、なじるでしょう（女王様ですから）。
こう考えると、「いやいや、AV女優なんて芸能人の一種じゃん。ふつうにお店で働いている風俗嬢なんかと全然、人種が違うよ！！」
という私たちの直感は、一部のAV女優、すなわちエリートの単体女優との比較でしか成り立たないことが分かります。
実際のところ、大半のAV女優は、何者か知られることもなく、裸体と痴態を公衆の面前に晒しているだけです。
それで名声を得られるわけでも、高額のギャラを得られるわけでもありません。
この事情を知ったのなら、それなりの成功を収めている風俗嬢なんかは当然、AV嬢になんて成りたくない、と思うはずです。
むしろ現在の仕事で目標の金額を稼いだら、誰にも知られることなく（←重要）、第二の人生を送ってやろう、と野望をメラメラ燃やしているのではないでしょうか。
コメント